HIV感染症
HIV感染症は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染する感染症で、急性期、無症候期、AIDS(エイズ)期の3つのステージに分けられます。
早期に発見し、適切に治療することで非感染者とほとんど同じように生活することができます。
症状
急性期(感染後約2~6週間)
発熱、リンパ節腫脹、咽頭痛、発疹、筋肉痛などがみられ、風邪やインフルエンザのような症状がみられることがあります。
多くの場合、自然に軽快します。
症状が軽い場合や無症状のこともあります。
無症候期(急性期の後~数年)
ほとんどが無症候性ですが、発熱、倦怠感、リンパ節腫脹がみられることや、帯状疱疹、口腔カンジダ症などの症状がみられる場合もあります。
AIDS(エイズ)期(感染後数年~十数年)
発熱、咳、呼吸困難、下痢、体重減少、認知機能低下など、AIDS(エイズ)指標疾患による症状がみられます。
AIDS指標疾患は23疾患あり、ニューモシスチス肺炎やサイトメガロウイルス感染症、カンジダ症、活動性結核などが含まれます。
原因
HIV感染症は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染することによって起こります。
主な感染経路は、性行為、麻薬等の静脈注射や針刺し曝露、母子感染などですが、多くは性行為により膣や直腸などの粘膜を介して起こります。
日常生活ではHIVに感染する可能性はほとんどありません。
お風呂やタオルの共用で感染した事例は報告されていません。
検査
HIV感染症の診断には、血液検査が用いられます。
スクリーニング検査は、抗原・抗体同時検査(第4世代)で行います。
スクリーニング検査で陽性になっても、偽陽性の可能性があるため、イムノクロマトグラフ法あるいはウエスタンブロット法、およびPCR法で確認検査を行う必要があります。
また、感染機会から2週間前後の期間は、HIVに感染していても、検査が陰性となることがあるため、疑わしい場合は期間を空けて検査を行う必要があります。
治療
HIV感染症の治療には、ART(抗レトロウイルス療法)が用いられます。
ARTにより、HIV感染症の進行を抑え、免疫を回復・維持することができます。
AIDS(エイズ)を発症した場合、多くはその原因となった疾患の治療も必要です。
抗HIV療法により、ウイルス量を低下させることで、感染者から非感染者への二次感染の減少も期待できます。
また、当院では、性行為前に予防するPrEP(プレップ)と性行為後に予防するPEP(ペップ)を行っております。
これらの予防方法で、HIVに感染するリスクを低下させることができます。