C型肝炎
C型肝炎は、C型肝炎ウイルスによって引き起こされるウイルス性肝炎です。
主に血液を介して感染し、針刺し、入れ墨、注射器の使い回しなどが感染リスクとなります。
また、性交渉による感染も報告されています。
他の性感染症と比べると感染率は低いことがわかっていますが、HIV陽性の方や肛門性交においては感染リスクが高まることが報告されています。
現在、C型肝炎ウイルスに対するワクチンは開発されていません。
症状
C型肝炎ウイルスは血液を介して感染し、2~14週間の潜伏期間を経て急性肝炎を引き起こす場合がありますが、比較的稀です。
急性肝炎を発症すると、倦怠感、食欲不振、吐き気、嘔吐、腹痛、黄疸(皮膚や目の白い部分が黄色くなる)などの症状が現れることがあります。
多くは自覚症状がない「不顕性感染」ですが、感染者の60~80%がウイルスを排除できず、慢性肝炎へと進行します。
慢性肝炎のうち、約30~40%が20年以内に「肝硬変」に進行するとされ、さらに肝硬変の患者さんでは年率約7%の頻度で肝がんが発生すると言われています。
肝硬変や肝がんが進行すると、肝不全の状態となり、黄疸、腹水貯留、意識障害などが出現します。
原因
針刺しや入れ墨、注射器の使い回しなど、血液を介して感染します。
性交渉で感染もする可能性もありますが、他の性感染症に比べて感染率は低く稀です。
しかし、HIV陽性者や肛門性交では感染リスクが高まることが報告されています。
検査
診断には血液検査が用いられ、HCV抗体の有無を確認します。
急性肝炎の初期段階ではHCV抗体が陰性になることがあるため、急性肝炎を疑う場合にはHCV-RNA検査を考慮します。
治療
以前はインターフェロンを用いた治療が一般的でしたが、現在ではインターフェロンを用いない抗ウイルス薬による治療が標準治療として広く行われています。
予防
現在、HCV感染を予防するためのワクチンは存在しません。
感染予防のためには、他人の血液に触れないことが重要です。
参考文献
国立国際医療研究センター 肝炎情報センター C型肝炎
厚生労働省検疫所 FORTH C型肝炎